スクール代表挨拶 ~ はじめに

グリーフケアスクールで伝えたいこと

 
 

哀しみという感情にどう向き合えばいいのか?

大切な人を失って苦しんでいる方にどう声をかければいいのか?

死別を体験されたご家族に、支援者として関わりは適切だったのだろうか?

そんなことに悩まれたことはないでしょうか。


グリーフを知ることが新しい人生の一歩になります。

死別をはじめとした喪失の悲嘆やそれに伴う反応を「グリーフ」と言います。

人は様々な喪失体験をします。喪失体験は私たちにとって身近な課題です。
 
グリーフは一般的に死別をテーマにしたものと思われがちですが、より広い捉え方が大切です。
 
身近な人の死のほか、支援者としての死別に痛みを感じることもあるでしょう。
 
また動物たちを家族同様に感じている方が多い昨今、ペットロスも大きな課題です。
 
死別を伴わない場合も災害などで家財を失うこともグリーフです。
 
それは単に物理的な喪失に限らず、居場所や安心感など心理的な喪失をする体験と言えるかもしれません。
 
さらには離別もグリーフと言えます。
 
幼い時に経験した親の離婚以来、生活に余裕が無くなったり、周りに気遣うようになったりすることで、子どもらしさを失う人もいます。
 
あるいは死別に至らない怪我や病気も大事な何かを奪われた経験でしょう。
 
老いによる身体機能や記憶の喪失もグリーフと捉えることができます。
 
その体験は千差万別ですが、人生は喪失の連続と言っても過言ではありません。
 
喪失体験が人生で避けられないのであれば、喪失体験と向き合うことは、人生と向き合うことと言えるでしょう。
 
ご遺族の方の哀しみや「死にたい」という気持ちを抱えた多くの方への相談を続ける中で、

 

「誰にも打ち明けられなかった気持ちを初めて話せた」
「自分の気持ちを黙って聴いてもらえたことでもう少し生きてみようと思った」

という言葉をもらうこともあります。

 
一方、喪失体験から怒りをあらわにされる方を前に、どう言葉をかけていいかわからず、
ただ立ちすくんだこともあります。
 
グリーフケアの現場においては、様々な状態、立場、信仰の方がいらっしゃいます。
それゆえに、「自分の対応で本当によかったのだろうか」と長く引きずってしまい、心に痛みを抱えたまま、バーンアウトする方にも少なからずお会いしてきました。
 
死というテーマは医療技術の進歩だけで解決しない、さまざまな課題を突きつけています。
 
グリーフケアの学校では、自分とは異なる考え、信念、信仰をもった方に対し、
アドラー心理学を軸に、臨床心理学全般の知見から、対話やワークを通じて、
悲嘆を抱えた方への本当に必要な関わりを一緒に考えていきます。
 

私たちグリーフ専門士・ペットロス専門士が目指すのは”専門家”ではなく”同行者”です。

私たちグリーフ専門士、ペットロス専門士が目指すのは、一人の人間として、そして、よき同行者として、「断絶感」を抱えている方が、「結合感」を抱けるようになる支援です。

 
本校で目指していることは次の3つです。
 
1つ目が「感じる」ということ。2つ目が「分かる」ということ。3つ目が「出来る」ということです。

【感じる】
 
私がこれまで多くの受講生と向き合って感じてきてきたのは、支援を目指す多くの方が、ご自身が何らかの喪失体験をされ、癒やされる場を必要とされているということでした。講座は支援者を養成することが第一の目標ですが、講座を通じて、あなた自身がグリーフケアを感じていただきたいと願っています。
 
【分かる】
 
受講を通して「グリーフとは何か」「グリーフケアとは何なのか」を周囲へ伝えられるようになることも大切です。例えば、読み終えた本について友人から内容を尋ねられたとしましょう。その時に一切説明できない状態だとすれば、あなたはこの本を「読んだ」「分かった」とは言えないかもしれません。講座ではグリーフをさまざまな角度からお伝えしますので、自分の言葉で語れることを目指しましょう。
 
【出来る】
 
知識は得たものの、生活に活かせない、現場で使えないものでは、この学びの意義が半減します。グリーフケアを学ぶことで「日常が楽になった」「人間関係が良くなった」あるいは「大切な人の力になれた」と生活や仕事の現場に活かし、実践が出来たという内容を目指します。

 


日本人の年間死亡者数は、 2020年は138 万 4544 人(厚生労働省人口動態推計 2020)です。

これは1 日で約 3800 人近くの方が、日本のどこかでお亡くなりになったことを表しています。

もし、その方に、ご家族ご友人など、3人の近しい方がいらっしゃったとすると、
毎日 11,000 人以上の方が何らかの形で死別を経験されることになります。
年間で500万人以上の方が心の痛みを抱えている可能性があるのです。

また何らかの事情で、お子さんを授からなかった方や、
ご家族とのお別れの後、支えてくれたペットとの別れを哀しむ人たちを含めると
その数は1000万人をくだりません。

私たちがお伝えする概念の中に、喪失悲嘆の7つの局面(グリーフスパイラル)というものがあります。
目には見えにくい、心と体の状態を客観的に捉えることができる概念です。

多くの方がその概念に触れただけで、
「これまでの自分を認められるようになった」
「死別をした方の状態がより深く理解できた」
「これを知っていれば、子どもの死後、夫婦でこれほど分かり合えず苦しまなくてもよかったのに……」

高齢化が進んでいる現在、大切な人や存在との死別を支える
グリーフケア、ペットロスケアはますます重要となってきます。

地域連携、他職種連携はもちろん、他のグリーフケアの団体の皆さんとも協力をしながら、
総合的な支援体制を築き、必要な方に届けたいと思っています。

まずはグリーフという言葉の本当の意味、そしてその大きさや深さやに触れてみませんか。

一方で、グリーフという言葉はまだまだ知る人も少ないことも事実です。
日本グリーフ専門士協会では、無料で学べるオンラインのグリーフケア入門講座も開催しております。

グリーフケアスクールでお伝えするのは、大事な人を亡くされた方への総合的な支援のあり方です。
 
それらの学びは様々な喪失体験と向き合う私たち自身がより良く生きる一助になるものです。
 
このサイトをきっかけにあなたと直接お会いできることを楽しみにしております。


公認心理師/一般社団法人 日本グリーフ専門士協会 代表理事
グリーフケアスクール代表  井手 敏郎


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