スクール代表挨拶Greeting

公認心理師
一般社団法人 日本グリーフ専門士協会 代表理事
NPO法人 全国自死遺族総合支援センター自死遺族電話相談 スーパーバイザー
全国心理業連合会認定 プロフェッショナル心理カウンセラー(上級)
カリフォルニア臨床心理大学院(日本校)にて米国臨床心理学修士号(MA)取得
グリーフケアスクールで伝えたいこと
哀しみという感情にどう向き合えばいいのか?
大切な人を失って苦しんでいる方にどう声をかければいいのか?
死別を体験されたご家族に、支援者として関わりは適切だったのだろうか?
そんなことに悩まれたことはないでしょうか。
グリーフを知ることが新しい人生の一歩に
死別をはじめとした喪失の悲嘆やそれに伴う反応を「グリーフ」と言います。
人は様々な喪失体験をします。喪失体験は私たちにとって身近な課題です。
身近な人の死のほか、支援者としての死別に痛みを感じることもあるでしょう。
また動物たちを家族同様に感じている方が多い昨今、ペットロスも大きな課題です。
死別を伴わない場合も災害などで家財を失うこともグリーフです。
それは単に物理的な喪失に限らず、居場所や安心感など心理的な喪失をする体験と言えるかもしれません。
さらには離別もグリーフと言えます。
幼い時に経験した親の離婚以来、生活に余裕が無くなったり、
周りに気遣うようになったりすることで子どもらしさを失う人もいます。
あるいは死別に至らない怪我や病気も大事な何かを奪われた経験でしょう。
老いによる身体機能や記憶の喪失もグリーフと捉えることができます。
喪失体験と向き合うことは、人生と向き合うこと
その体験は千差万別ですが、人生は喪失の連続と言っても過言ではありません。
喪失体験が人生で避けられないのであれば、喪失体験と向き合うことは、人生と向き合うことと言えるでしょう。
ご遺族の方の哀しみや「死にたい」という気持ちを抱えた多くの方への相談を続ける中で、
「誰にも打ち明けられなかった気持ちを初めて話せた」
「自分の気持ちを黙って聴いてもらえたことでもう少し生きてみようと思った」
という言葉をもらうこともあります。
一方、喪失体験から悲痛な叫びや怒りをあらわにされる方を前に、かける言葉が見つからず、
ただ立ちすくむこともあります。
それだけに、「自分の対応で本当によかったのだろうか」と長く引きずってしまい、
心に痛みを抱えたまま、バーンアウトする方にも少なからずお会いしてきました。
死と向き合う現場においては、様々な状態、立場、信仰の方がいらっしゃいます。
医療技術の進歩だけで解決しない、さまざまな課題を突きつけています。
グリーフケアスクールでは、悲嘆を抱えた方と向き合うために、
国内外のグリーフケア(グリーフサポート)の取り組みを、臨床心理学全般の知見から、
対話やワークを通じて一緒に考えていきます。
グリーフ専門士/ペットロス専門士が目指すのは”同行者”
現場で感じてきたことは、悲嘆を抱えている方が求めているのは専門性以上にともに居てくれる人です。
私たちグリーフ専門士、ペットロス専門士が目指すのは専門家ではなく、
一人の人間として、そして、よき同行者としての関わりです。
日本での年間死亡者数は、 2021年は143 万 9809人です。(厚生労働省:令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数))
これは1 日で約 3950 人近くの方が、日本のどこかでお亡くなりになったことを表しています。
もし、その方に、ご家族ご友人など、3人の近しい方がいらっしゃったとすると、
毎日 11,000 人以上の方が何らかの形で死別を経験されることになります。
年間で400万人以上の方が心の痛みを抱えている可能性があるのです。
また何らかの事情で、お子さんを授からなかった方や、
ご家族とのお別れの後、支えてくれたペットとの別れを哀しむ人たちを含めると
その数は1,000万人をくだりません。
私たち自身がより良く生きることに繋がる
私たちがお伝えする概念の中に、喪失悲嘆の7つの局面(グリーフスパイラル)というものがあります。
目には見えにくい、心と体の状態を客観的に捉えることができる概念です。
多くの方がその概念に触れただけで、
「これまでの自分を認められるようになった」
「死別をした方の状態がより深く理解できた」
「これを知っていれば、子どもの死後、夫婦でこれほど分かり合えず苦しまなくてもよかったのに……」
高齢化が進んでいる現在、大切な人や存在との死別を支える
グリーフケア、ペットロスケアはますます重要となってきます。
地域連携、他職種連携はもちろん、他のグリーフケアの団体の皆さんとも協力をしながら、
総合的な支援体制を築き、必要な方に届けたいと思っています。
一方で、グリーフという言葉はまだまだ知る人も少ないことも事実です。
日本グリーフ専門士協会では、無料で学べるオンラインのグリーフケア/ペットロスケア入門講座も開催しております。
グリーフケアスクールでお伝えするのは、大事な人を亡くされた方への総合的な支援のあり方です。
その学びは様々な喪失体験と向き合う私たち自身がより良く生きることに繋がると確信しています。
あなたと直接お会いできることを楽しみにしております。
公認心理師/ 日本グリーフ専門士協会 代表理事