受講生の声

神奈川県 牧野静子さんグリーフ専門士養成コース(ベーシック)

どうしてグリーフケアスクール(専門士養成コース)に参加したいと思われましたか。
高校生の時に初恋の人を、保育士時代に担当していたお子さんを、ともに事故で失いました。
当時はまだ「グリーフ」という言葉も一般的ではない時代で、家族でも親族でもない私は、大きな哀しみを誰とも共有できず、心の奥に閉まって蓋をすることしか出来ませんでした。
最近になって、長年患っていた父親と、子どものように大切な愛兎を相次いで亡くしました。
とても大切な存在を亡くして、言葉には出来ない、心に大きな穴が開いたような哀しみ、喪失感を味わいました。
また、この喪失体験がきっかけになって、蓋をしていた過去の哀しみも蘇ってきました。
喪失体験を受け止めてこれから生きていくために、この言葉にならない気持ちにしっかり向き合おうと思いました。
グリーフとは何なのか、どのように心身をケアすればよいのか、一から学びたいと考えました。
更に、哀しみの中で孤独でいることは心身により大きな負担をかけることを体験し、周囲の人の支えがどれほど力になるのかも実感しました。
また悪意のない言葉でも時には心に大きな傷を残してしまうことも経験しました。
これらの体験から、適切で必要なグリーフケアをきちんと学び、喪失体験を抱えて深い哀しみの中で苦しんでいる方々のお気持ちに、寄り添えるようになりたいと強く考えるようになり、講座に参加させていただきました。
参加してどのように感じましたか。心に残ったことを3つあげてください。
1、敬話敬聴
講座の中で、何度も繰り返し教えていただきましたが、グリーフケアの根幹である「敬話敬聴」の姿勢で目の前にいらっしゃる方に向き合う、ということが一番心に残っています。
ゆっくり丁寧に話す、優しく穏やかに話す、沈黙を大切に聴く、特別な体験として聴く、相手の方をリスペクトし尊重することが何より大事であること。
想いにじっと耳を傾け、分かろうとする気持ちで受け止める。
基本ではありますが、それがグリーフケア支援者としての「軸」であり、常に自分の指針になることです。
また日々忙しく生活しているとつい忘れてしまいがちですが、家族・友人・同僚など誰か3と関わりながら生きている私たちにとって、一番大切なことでもあると思います。
私はそのように人と向き合っているのか、改めて自分の生きる姿勢も考えるきっかけになりました。

2、グリーフスパイラル実際に体験した悲嘆の症状を、喪失悲嘆の7つの局面グリーフスパイラルに当てはめると、とてもよく理解出来ました。
変わらない本質としての「哀しみ」が常にあり、現状は「混乱」「否認」「怒り」などにランダムに移り変わり、また戻ったりしながら、やがて「再生」していきます。
その過程は階段を一段ずつ昇っていくようなものではなく、スパイラル状に繰り返しながらであって、現れ方も人によって千差万別です。
現れている症状をグリーフスパイラルにあてはめると、この局面だからこういう状態であって、支援者としてどのようなことを心がけたらよいのか、と理解出来ました。
そして、グリーフは辛く苦しい体験ではあるけれど、哀しみだけをもたらすものではなく、やがて再生の時を迎えてその方の新しい出発にもなること、という講師の方のお言葉がとても印象に残りました。
自分自身の哀しみの先にも希望が見えましたし、グリーフを抱えた方がやがて新しい出発の時を迎えられるまで、一緒に伴走者として寄り添いたいと思いました。

3、グリーフの指標その方がグリーフの状態なのか、医療関係者につなげる必要があるのかを、見極める指標が印象深いです。
グリーフは病気ではありませんが、食欲が無くなる、眠れない、倦怠感など一見するとうつ病と同じような状態であるので、どちらなのかの見極めがとても難しいと思います。
今まで自分でDSM-5の表記を読んでも違いがよく分からずピンとこなかったのですが、今回のテキストに記載されている比較や、「グリーフは波を描く」という表現は分かりやすく、イメージ出来ました。
そして、適切な時にリファーをしその方を必要な支援で守ることが、支援者を守ることにもなるということが理解出来ました。
グリーフケアは、グリーフの状態にある方に本当に必要な支援をすることが一番大切なことです。
支援者として不適切な関わりにならないように慎重な見極めが必要ですから、今後より深い学びと経験が必要だと実感しました。
そして自己判断だけではなく、いざという時に相談できる人を作っておくことがとても大事だと思いました。
今回の学びをこれからどのように活かしたいですか。
まず今回講座で学ばせていただいて、自分自身の心の奥にあるグリーフと向き合うことが出来ました。
はじめは少し怖い思いもありましたが、鏡のワークなどを通して蓋を閉じていた想いがモーニングの状態になりました。
安心できる場でお話をさせて頂き、一緒に学ぶ仲間の方々に共感して戴いたことも、とても大きな力になりました。
支援者として誰かの哀しみに寄り添うためには、自分自身の心が安定していることが必要です。
これからも感情が込み上げ辛くなった時には、バタフライハグをして心を落ち着かせながら、丁寧に自分の心と向き合う時間を作っていこうと思っています。
そして、グリーフの状態にある方々が安心してお話をして下さることを目指して、今後もグリーフの学びを進めていきたいと思っております。
講座で学ぶ前は、グリーフというのは「死別による哀しみ」というイメージを持っておりました。
しかし実際のグリーフは、離別、加齢によって今まで出来ていたことが出来なくなること、事故や病気での身体の欠損など、非常に多岐にわたるものと知りました。
つまりグリーフは、日常生活の中で誰にでも起こりうることであり、言い換えれば誰もが何かしらのグリーフを抱えながら生きている、という視点を持つことが出来ました。
今回学んだことは、普段の生活の中でご自分がグリーフの状態であると気づかずに苦しんでいる身近な方に関わる時にも、生かすことが出来ます。
その方々が無理せずご自分の気持ちを大切にして下さるように、そばに寄り添いたいと思っております 。
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