受講生の声

岐阜県 Y.Kさんグリーフ専門士養成コース(ベーシック)

どうしてグリーフケアスクール(専門士養成コース)に参加したいと思われましたか。
2023 年 11 月に不慮の事故で夫を亡くしました。青天の霹靂とはこのことだと思いました。このような状況に置かれた時、人はドラマや映画のように泣くことなど出来ないのだと思いました。いつものように元気に仕事に出て行った夫が突然この世から居なくなりました。私の目の前で起きたことの何もかもが、全く理解出来ませんでした。一見、冷静に対応していた自分が一番理解出来ませんでした。夫が居なくなってしまった年末年始をやり過ごし2か月が経った頃、突然涙が止まらなくなりました。気が狂いそうでした。

この時の私は、誰にも涙をみせられませんでした。私のことを心配して寄り添ってくれている母や家族に弱音を吐くことが出来ませんでした。家から出ることも出来ませんでした。どうしたら良いのか、生きていて良いのかもわかりませんでした。私は仕事柄、これまでにも人様の死に直面することがありました。患者様に寄り添う、それは医療職の思い上がりだったのだと気づきました。
一番身近で大切だった家族を亡くし、私の身に起こっていることの全てを理解したいと思ったことがグリーフケアスクールに参加した動機です。私は私を知ることで、私のクライエント様に真に寄り添うことが出来るようになるかもしれないと思いました。
参加してどのように感じましたか。心に残ったことを 3 つあげてください。
1敬話敬聴:私自身、普段から敬話敬聴を心がけているつもりでした。自分が誰かに話しを聞いてもらいたいと思った時に、思いのほか敬話敬聴してくれそうな身近な専門職が思い浮かびませんでした。グリーフを抱えた人が必要としているのは、専門職からのアドバイスではないのだと気づきました。グリーフ専門士に必要なのは、心から敬い話しを聴かせていただく「敬話敬聴力」だと心の底から思いました。

2グリーフスパイラル:グリーフスパイラルを知ることは、喪失体験をした私自身の生きる指標となりました。スパイラルの中にあるそれぞれの感情の奥にあるものを意識することや支援者として心がけることがよく理解出来ました。哀しみはなくなるわけではないけれど、人生は哀しみでは終わらないと言うメッセージに希望を見出すことが出来ました。

3共同体感覚:ここにいると安心できると言う感覚を、講師の先生と受講者とで共有できたことが嬉しかったです。週1の講座が毎回楽しみでした。講義の場が優しさにあふれていたからだと思います。私は他者貢献にばかり気持ちが向いていましたが講座を受けてからは自己受容に努めました。「共同体感覚が高い人は、尽くし与えるだけではなく、自分も援助してもらう勇気がある人だ」とのアドラーの言葉で、信頼出来る知人に声をかけ話しを聴いてもらいました。その行動が起こせたことで気持ちが楽になりました。

今回の学びをこれからどのように活かしたいですか。
自分自身が専門職でありながら、身の上に起こった喪失体験をどう扱ってよいのか途方に暮れつつ、運よく日本グリーフ専門士協会にたどり着くことが出来ました。セルフケアに努めていたつもりですが、それでもどうしようもない感情に見舞われました。今現在も、「誰かに話しを聴いてもらったら楽になるのではないか」と敬話敬聴を望む自分が居ます。しかし話しを聴いてもらう相手は誰でも良いのか?と考えた時、整理の出来ない、自分でも理解出来ない、答えが欲しい訳ではない混乱したこの感情を誰にでも話せるわけではないよな...と聴いて欲しい相手を選り好みしてしまいます。死別の喪失体験をしている人は社会にありふれているのに、皆様いったいどのように気持ちの整理をされているのか、こんなに混乱しているのは私だけだろうか?と、自分が這い上がれない沼に落ちている今は、気持ちを共有出来る仲間を探してしまいます。

先日もインターネットでグリーフを語れる場所が身近にあるか探してみました。グリーフケアを必要としている人は多いはずなのに、必要な人が必要な場所につながっていないのではないか、と感じています。或いは、グリーフケア自体が世間に知られていない現実に愕然としています。自分自身のグリーフが癒えてきたら、地域にグリーフを語れる場所を作りたいと思っています。今回の学びが私暮らしている地域で、グリーフケアを必要としている方々の拠り所になれるよう活かしたいです。

私自身はこれまでのベーシック講座での学びを、現在の仕事の中で「敬話敬聴」に努め活かしていきたいと思っています。それ以前に、まず今の自分自身を優しく受け入れたいと考えています。夫が亡くなって6か月が経ちました。死別の哀しみは時間が解決してくれるものではないことを悟りました。それ故に、ワークでおこなった「寝る前に鏡を見ながら自分自身に語りかけること」で、穏やかな気持ちになることを習慣化していきたいと思います。

この講座の中でおこなった 30 秒間片足だけで動いたワークは、グリーフの状況をわかりやすく実感することが出来ました。人は先が見えない不安があると、その辛さが永遠に続くように感じますが、人生の中で大切なものをもぎ取られて動けない期間と言うのは人によって様々です。私はグリーフを抱えた人がその人らしくその後の人生を生きていくために、その方の大切な局面に関わっていける同行者でありたいと思います。

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