受講生の声

千葉県 中村昌子(よしこ)さんグリーフ専門士/ペットロス専門士養成コース(共通マスター)

講座に参加してどのように感じましたか。特に心に残ったことを3つあげてください
① 早期回想
このコースのワークでは、私が4歳の大晦日の夜、普段多忙な家族が茶の間に集って団欒中、母に促され、レコード大賞第1号、水原弘の「黒い花びら」を歌い拍手喝采を浴びたシーンが題材だった。この思い出は、多分、私が初めて家族から褒めてもらい、賞賛を浴びた成功体験だったと思う。このシーンは今までも思い出すことはあったが、レコード大賞の歴史を検索すると、当時の私が4歳だったことに驚いた。この歌の歌詞は「恋の悲しさ、切なさ」を歌っているが、現在の私の世界観「儚さ」に通じるものがある。

・「早期回想は,個人の自叙伝のさわりの部分である。人は自分の自叙伝の一節を時々復唱して、自分自身を警告したり、自分自身を慰めたりする。また、自分の目標から目をそらさないようにもする。」

☆人は自分の過去の記憶の中から、現在のライフスタイルに一致したものだけを思い出す。

と課題図書P77、78に記してあるが、実際に何が起こったかが重要ではなく、重要なのは、今、そのように思い出すという事実だということーそれが、とても腑に落ちたし、実施した「早期回想」のセッションでも話者にこのポイントを説明すると、とても説得力があり、それぞれが納得された様子だった。

② 持続性複雑死別障害
DMS-5で提示された持続性複雑死別障害の基準案から鑑みると、私の場合、「3.11東日本大震災」の災害関連死で母を重篤な肺炎で亡くしているが、その看取った日の状況と悲しみが脳裏に焼き付き、そのシーンを思い出すと情緒的苦痛に陥る。特に、⑶故人へのとらわれ⑷その死の状況への捉われ、この2点については、既に悲しみを克服し乗り越えたつもりでいたが、表で示された12カ月を遥かに超えて現在も続いていることに気付き驚いた。
具体的には、苦しい呼吸の中で瀕死の状況の母の傍らで、姉が母の両足をさすり、私が母の両手を抱きさすりながら迎えた、母が臨終を迎えるまでの時間、姉と私それぞれが母に掛けた言葉を思い出すと、自然に涙が溢れ、胸が苦しくなってしまうのだ。姉は、ずぅっと、「今まで苦労に苦労を重ねてきたお母さんが、なんで、こんな酷い死に方をしなきゃぁならないのよぉー。」と繰り返し言っていた。私は、「お母さん、お母さん、私の中で蘇ってね、絶対、蘇ってね」と繰り返し、懇願していた。
「複雑性悲嘆は必ずしも精神医学的な病気ではありませんが、自然に自己を取り戻していく悲嘆の旅が長引き、留まっている状態」とある。正に、自分の中で、「受け入れ難い事実であるが故に否定する状態」が今現在も、続いていることに気が付いたこと、これは私にとっては大きな気づきだった。

③ フューチャーツアー
フューチャーツアーの体験で、漠然と自分自身が思い描いている近未来のVISIONがより鮮明に明快に具体的に描けることができたことが良かった。私自身の未来構想は、ワクワクできる仕事(公立小学校外国語指導員のお仕事)と地域に根ざした活動(地域猫活動)を両輪に、家族、信頼し合える友人たちと良好な関係を保ち、これまでの研究や趣味の写真、映画、旅行なども楽しめればいいなあと、漠然と考えているのだが、このワークで、その中でも特に、「地域猫活動」団体の次のステージへの展開を具体的で鮮明なイメージで切望していることがわかった。
今回の学びをこれからどのように活かしたいですか。
「ペットロス専門士」としては、超高齢社会、日本の社会で、家族=コンパニオンアニマルとしての大切な家族の存在を失った方々のお気持ちに寄り添えるスキルを磨き、実践的に地域社会で役立てたい。
「地域猫活動団体」の新たな取り組みに「グリーフケア」を組み込むことは、現時点で、前例が無い、先鋭的な試みだと思うし、「超高齢社会」の地域コミュニティで、今後、益々、必要とされてくると思う。
また、「グリーフ専門士」としては、時間の許す限り、協会の様々な学習の場、ツールやイベントを出来るだけ活用させていただき、多種多様で複雑なグリーフを抱えたクライアントに、伴走者として寄り添うことが出来るスキルを、実践的に積み重ねて磨いていきたいと考えている。
マスターコースをアドバンス受講生の人に勧めるとしたらどのように伝えたいですか。
マスターコースでは、ベーシックコースから始まった学びの集大成として、自分自身の喪失体験と、更に深くしっかりと向き合い、今まで気づかなかった自身の奥底の土壌とも言える信念(ライフスタイル)を見つけ出せます。
また、これから、グリーフ専門士・ペットロス専門士として、クライアントの深刻なケースに遭遇した際に、しっかりと寄り添いながら伴走するためには、先ずは自分自身の心の土壌がしっかりとしてなくてはなりません。それには、難解と言われる「アドラー心理学」の詳細な理解と技法のポイントを学ぶことは、とても有効でお勧めです。
私自身、このマスターコースがきっかけで「アドラー心理学」の学びを始めたわけですが、
学べば学ぶほど、学習意欲が湧いて来ます。
今後、様々な喪失体験と向かい合う実践の場を積み重ねながら、更に理解が深まり、新たな発見に繋がり、実践と学びを、行きつ、戻りつしながら積み重ね、確かな知識と技能が身についていく近未来への道程が、自分自身、今からとても楽しみです。
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