受講生の声

三重県 氷上彩香さんグリーフ専門士/ペットロス専門士養成コース(共通マスター)

講座に参加してどのように感じましたか。特に心に残ったことを3つあげてください。
1, 敬話敬聴
今まで敬話敬聴について何度も学んできたが、本当の意味を自分自身は理解出来ていたのだろうかと、改めて考える機会となった。
相手を敬い、話を聴かせていただくということ。敬意をもって話を聴くとはどういう事なのか。
グリーフの話をするということは、自分自身もそうであるがなかなか人には簡単に言えない内容である。
その話をまずは話していただけたということに感謝をしたい。特に今回学んだ複雑なグリーフについては、より一層の配慮が必要であり、信頼関係がなければ話をしていただくことは出来ないであろうし、信頼して話をして下さったその気持ちを大切にし、共に居る、同行させていただくということが敬話敬聴であると思った。その方にとって大切な時間であり、その方だけの大切な話を共有させてもらうことの重みを感じる。目の前の方は唯一無二の存在であるということ、同じ話は決してないということも改めて実感した。似たような境遇の場合にどうしても、自分自身の感情が浮かんでしまうが、頭の中をフラットにして話を聴かせていただくということを意識していきたい。
その方にとっての喪失の現実は何であるのかを話を聴きながら見つけていく。
その方にとっての適切な距離感を知ることも大切であり、故人と繋がりたい人もいれば、今は繋がりたくない人もいるということを知っておく。

2, 早期回想
早期回想を実際に行ってみて、思っていたより自分自身の過去と向き合うことが苦しかった。しかしそれだけではなく、何で幼い時の記憶がほとんど思い出せないのだろうと思っていたが、それは自分自身が辛い記憶を封印していたからだという事に気付く事も出来たし、自分自身の支えにも気付くことが出来た。
早期回想での記憶は、事実じゃない記憶の場合もあるということに驚いた。
そして、こういう事があったから今も同じようなことで悩んでいると思ったり、対処行動が何も変わっていないと思うのではなくて、今の自分が必要だからチョイスした記憶であること、そのとき思い出した内容は事実じゃなくてもいいのだと思えると、変わっていない自分を責めたり、過去を恨んだりしなくてもよくなると感じた。どうしても過去のことを引きずっていた自分がいたので、今の自分にとって必要な記憶だと思えることは、マイナス思考に陥らずにすむと思った。
人生はグリーフの連続であるけど、同時に大切なものに気付かされたり、頑張ってきた自分を認めたりすることもできると思った。
剝がしても剥がしても玉ねぎの皮のようにどんどん剥けていくし、時に涙を流しながらも自分自身と向き合って癒されていく時間にこの講座はなっていると改めて感じた。

3, 複雑なグリーフ
自死や災害、事件、事故などで大切な方を亡くした方のグリーフは多くの哀しみが重なり複雑であるということ、色んな具体的な話を聴かせていただき、正直に怖いと感じたことは、この気持ちを知ることからスタートだということがわかり必要な感情であるということがわかった。怖いと感じたのは真剣に向き合ったからこそ感じるものであって、この怖さを知らずに活動していくことは蛮勇であると、代表が話をされていてその通りであると感じた。
同じ経験がないと何も理解出来ないのではないかと思っていたが、体験したからといってわかるというものでもないということもわかった。相手の方の体験は常に自分の想像を超えてくるものだと思っておかなければいけないし、唯一無二のその方だけの話である。
自死の要因は一つではなくて、亡くなったそのときに焦点をあてるのではなく、それまで生きてきたところに焦点をあてて話を聴いていくという事、何でだったのかという事-ではなく、どのように生きてこられたのかという部分に想いを馳せていきたい。
病気の状態での自死だったと受け止めたい人もいれば、過酷な労働とかでの自死だとすれば、普通だったのに死んでしまったのだと怒りを感じている人もいる。説明の仕方もその人によって考えなければいけないということもわかった。

ネガティブ・ケイパビリティの考え方は、常に人は何か答えを探そうとしたり、知ろうとする力があって、なかなかわからないままにしておくというこの考え方は育ちにくいが、すごく大切な考え方だと思った。解決が出来ない苦しみに対しては、かける言葉もみつからなければ、正解も答えもない問いであるため、わからないというのが正直な想いであり、わからないがわかろうと努力はしたいし、傍にいたいという思いを伝え続けていくということが必要であると思った。それに対して相手がこの人ならわかってくれるかもしれないと思ってもらえたとき、初めて共感に近づくことができるのかもしれない。空白に耐える力もつけていきたい。
諦めたわけでも、開き直ったわけでもなく、わからないながらでもわかりたいという想いを伝え続けること、サポートし続けることが必要であり、それにはとてもパワーを必要とする。だから一人で活動することは非常に危険であり、仲間が必要であるということも実感した。

今回の学びをこれからどのように活かしたいですか。
これからの人生をどのように生きていきたいのかということを、学びを深めながら考え続けていきたいと思っています。また自分自身のグリーフとも向き合い続け、今まで蓋をして閉じ込めてきた気持ちを少しずつ表出し、自分のことも大切にしたいと思っています。フューチャーツアーでは、暗闇の中で迷っている人にとっての灯台のような場所を作りたい、そういう存在になりたいという自分が見えました。
また日々訪問看護の仕事を行う中でも、多くの大切な方の旅立ちを経験するため、大切な最期の時間や旅立たれたあとの、遺族の方のケアも大切にしていきたいです。そして、日本中にこのグリーフケアが今よりもっと浸透し必要な方に必要な時に届くよう、その普及にも尽力していきたいと思っています。
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