グリーフ専門士養成コース (ベーシック) Grief Care Basic
講座概要
グリーフを多角的に理解し、死別した時の多様な反応を知ることで、
悲嘆を抱えた方への適切な関わりを身に付けます。
自分の気持ちと丁寧に向き合いながら理解を深められる内容です。
【グリーフ専門士養成コース(ベーシック+アドバンス) 】
基本知識と姿勢を学ぶベーシックと、
より専門的な関わりの理解を深めるアドバンスを週に1回3か月で学びます。
代表井手の動画講義と、講座当日のシェアやワークを組み合わせたお勧めのコースです。
動画講義は期間中、繰り返し視聴することが可能です。
《開催日程/11月スタート》
〇11月12月1月水曜夜クラス
・11月8日〜1月31日開催(1/3は休み)20時〜23時
《開催日程/12月スタート》
〇12月1月2月金曜夜クラス
・12月1日〜2月23日開催(12/29は休み)20時〜23時
〇12月1月2月木曜昼クラス
・12月7日〜2月29日開催 (1/4は休み) 13時〜 16時
*偶数月に2クラス、奇数月に1クラス開催予定です。
*詳細は「グリーフケア入門講座」にてお伝えしています。
INDEXページ「グリーフケア入門講座」より、お申込みください。
*入門講座、基礎講座を受講済みの方は『お問合せ』よりお知らせください。
ご案内をお送りいたします。
講座内容
DAY.1
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・遺族支援の場づくりの基本
守秘義務・心理職としての倫理観(臨床心理士倫理綱領を基準に指導)
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・グリーフとは何か
8つのグリーフとイメージで理解する
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・観の眼と見の眼を養う
表面に捉われない見方を養う
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・哀しみの触れ方
敬話敬聴の姿勢(6つのポイント)
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・自分の状態に気づく
自らの哀しみを語る
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・課題
自分の価値観を見つめ直す
DAY.2
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・グリーフの奥にある背景
事例と問題提起/悲嘆に影響する7つの媒介要因
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・ノーマライズ技法と留意点
死別された方への実際の声がけと留意点を知る
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・共感的伝え返しの基礎
関わり方の理解と体験を深める
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・グリーフを深刻にする4つの課題
環境や立場によるグリーフの現れ方
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・弔いのプロセスでどう関わるか
看護、介護、葬儀の現場におけるグリーフケア
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・課題
敬話敬聴の実践
DAY.3
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・感情の扱い方
感情に影響を与える3つの要因
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・セルフケア
自尊感情(自己肯定感):内なる自分を抱きしめるワーク
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・アドラー心理学基礎1
共同体感覚の理解
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・アドラー心理学基礎2
勇気づけとグリーフケア
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・看取りとリフレーミング
終末期から死別後までの事例から関わりを考える
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・課題
セルフケアの習慣化
DAY.4
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・喪失の痛みを感覚で捉える
知識だけに捉われない直感的な理解を身に着ける
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・グリーフの4つの影響
感情・身体・社会・精神への影響を学ぶ
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・精神的問いへの関わり方
死生観、人生観を尊重する関わりと留意点
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・うつ病とグリーフの違い(DSM5)
DSMの基本的な理解:エビデンスとリファー
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・喪失悲嘆の7つの局面
混乱・否認・怒り/罪悪感・抑うつ・諦め・転換・再生
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・最終課題
敬話敬聴の実践と講義レポート
アドバンスカリキュラムは「グリーフ専門士/ペットロス専門士養成コース(アドバンス)」をご参照ください
受講料
ベーシック 55,000円/アドバンス132,000円(税込) ※無料入門講座にてセット特別受講料ご案内
※オンライン対面受講となります。お顔を出してのご受講をお願いいたします。
※基準を満たした課題の提出をもって資格認定となります。(「グリーフ専門士」の名称を使用して活動される場合は会員登録が必要です)
※安全なご受講を考慮し、心療内科などへ通院、又は精神面における服薬をされている時期は、原則ご参加を見合わせていただいています。
講座担当
産業カウンセラー:グリーフケアの知識をわかりやすく喪失悲嘆を抱えた方も安心して参加できる癒しの講座を目指します。
保育士:母の闘病、介護から看取りへ。「哀しみ」その先を支えるグリーフケアが必要とする方や社会に伝わりますように。
獣医師:母、愛犬との死別体験から、身をもって感じたグリーフケアの大切さ。心に寄り添うグリーフケアを志す。
双子の妹と母の死別後、協会に出会い今の自分が在ります。グリーフケアの温もりをお伝えできるよう努めてまいります。
公認心理師:幼少期の喪失体験から悲嘆支援に関心をもち、協会を発足。心理臨床の視点からグリーフケアに取り組む。
受講生の声
詳しい感想をご覧になりたい方は、各受講生の声をクリックすると全文をお読みいただけます。
少しずつ自分自身をケアしていき、また私のように喪失体験で悩んでいる方や不調を感じている人の同行者で在れるような手助けができたらいいなと思っています。(全文はクリックしてご覧ください)
(和歌山県 中埜奈夢さん)
- どうしてグリーフケアスクール(専門士養成コース)に参加したいと思われましたか。
- 5年前に3歳年下の妹を22歳、自死で亡くし、それがきっかけで自死遺族という言葉を知りました。私自身も当初苦しんでいた経験があるので、この経験をしたからこそ、同じような境遇の人で悩んでる人少しでも手助けしたいという想いと、その当初の自分の気持ちを知りたい学びたいという想いからです。
- 参加してどのように感じましたか。心に残ったことを3つあげてください
- 私が今後生きていく上でとても大きな一歩を踏み出すきっかけになった学びでした。
講座を受けるのは毎回楽しみではありましが、率直な感想になると、最初の日の後は、疲労困憊で、感情のコントロールが上手くいかない日もあり、涙を流すこともありました。
それでも自分との対話、内観したり、一緒に講座を受けてくださった皆さんの想いや考えを聞くことがで段々と心がフラットになっていくのを感じました。
それでもやはり学べてよかったという想いの方が大きいのは、心に残った3つのうちのひとつ「ようさんの「どんな気持ちが湧き上がってきても、その気持ちを大切にしてもいい」という言葉を聞けたことです。
学び初めの頃は、ポジティブな考えの方に変えていかないと、ネガティブな思考はいけないと思っていました、このネガティブな想いが湧く上がってる間はダメだとも、、、。
ですがこの言葉をいただいたことで、その感情も私の一部だし大事に大切にしてもいいと思えるようになり、本当に心が楽になり、焦りなどの感情が和らぎました。
二つ目は敬話敬聴です。
本当に家族間の関係や職場間の人間関係が円滑になったように感じています。
また職場からはこの講座を受けたあたりから話し方が良い方向に変わったとも言われました。
話をただ聞くのではなく、こちらがどんな意識を持って接するのかでこんなに変わるものなんだと身をもって体感したので、敬話敬聴を日常的に大切にしたいです。
三つ目はうつ病とグリーフの比較です。
妹を亡くした当時は、心身に不調をきたしており、病院に受診はしませんでしたが、その時の自分の状態を調べてみると、うつ病に当てはまる項目がたくさんありました。
病院に受診しなかった理由はここでは省かせていただきますが、当時の自分は「妹を亡くしたんだから心に負担がきているからうつ病になってもおかしくないよね」と漠然と思っていました。
その後も病院は受診せずに自分自身でケアを行なっていました。
なのでこのトピックを学ぶまでは、「以前、私はうつ病に近しい状態」だと思っていたので、うつ病とグリーフの比較を知った時とても驚き、私ははっきりと
「あの時はグリーフだった」のだと知ることが出来ました。
それと同時にうまく表現をすることは出来ないのですが、心のもやが晴れる、頭がクリアになったと感じ、私の心がおかしくなったのではなく、死別で痛みを抱えるのは当たり前、という言葉に心に深く動かされ、安心感を覚えました。
- 今回の学びをこれからどのように活かしたいですか。
- 今回の大きな学びは自分の心と向き合えることができたことなので、講座内容を復習しつつ少しずつ自分自身をケアしていき、また私のように喪失体験で悩んでいる方や不調を感じている人の同行者で在れるような手助けができたらいいなと思っています。
(和歌山県 中埜奈夢さん)
日々患者さんやご家族とのかかわりの中で敬話敬聴を通して、相手に寄り添うことのできる優しい看護師になりたいと思います。人の温もり、心の繋がりを感じられるように、引き続き学ばせていただきながら、実践し続けていきたいです。(全文はクリックしてご覧ください)
(東京都 元原泉さん)
- どうしてグリーフケアスクール(専門士養成コース)に参加したいと思われましたか。
- 自分自身がグリーフを抱えており、自分のグリーフとどのように向き合うべきか悩んでいた。
緩和ケア病棟の看護師として、終末期の患者さまのお世話をさせていただく立場にあり、患者さまにとって、そのような日々、そばに居て、嫌じゃない看護師とはどんな存在なのかを、学びたいと思いました。
- 参加してどのように感じましたか。心に残ったことを3つあげてください。
- ①今回の講義にご参加されていた方の中で、自分以外に看護師がお2人いらっしゃいました。普段、患者さまとのかかわりの中で感じるグリーフを話することができない環境、ゆるされない(と言われている)立場にいて、これまで他の同業者がどう感じているのか、ゆっくり心の内を聞くことはありませんでした。
ですが、みなさんそれぞれに思いがあり、その思いを表出し、お互いに素直な気持ちを話せる空間は、私自身の癒しにも繋がっていて、実はとても大切なことなんじゃないかと感じました。
医療従事者のための、グリーフケアにとても関心を持てるきっかけになりました。
②お看取りが出来なかったご家族への、お声かけがとても印象に残っています。
どれだけ私たちが最期のときをご家族でお過ごしいただきたいと思っていても、やはり看取りに間に合わないご家族もいらっしゃいます。
そのとき、看取れなかったことを悔やまれるご家族に、どのようにお声かけすれば 良いのか悩んでいましたが、講義でご紹介いただいたお声かけが素晴らしかったです。
実践に役立てることのできる、貴重な学びでした。
③「私でよろしければ、あなたのお話を聞かせていただけませんか」と、真っ直ぐ私の目を見て言ってくださり、丁寧にゆっくりと語りかけてくださったとき、ほんとうは泣くつもりなんてなく、淡々と話そうと思っていたのに、涙が止まらなくなってしまいました。
それは、今まで自分の経験を話すのに、こんな優しい言葉をかけてもらったことがなかったからだと思います。
「あぁこの方は、私の話を大切にしてくださるんだ」と感じて、それだけで涙が溢れて来てしまいました。
哀しみを、その方の哀しみとして、その方の人生を変えるほどの大切な経験として、敬話敬聴を通してお聞かせいただくこと、接することの大切さを実感しました。
- 今回の学びをこれからどのように活かしたいですか。
- 日々患者さんやご家族とのかかわりの中で、引き続き、敬話敬聴を通して、相手に寄り添うことのできる、優しい看護師になりたいと思います。
そして、絶望から、希望へと向かうように、孤独から、人の温もり、心の繋がりを感じられるように、引き続き学ばせていただきながら、実践し続けていきたいです。
また、医療従事者のグリーフケアができるようになりたいと思いました。
それには、まだまだ学びが足りないかもしれませんが、何か出来ることはないかと、日々模索しながらやっていけれたらと思います。
グリーフを抱えて、失うことの哀しみにとらわれて、様々なことへの感謝を忘れてしまっていました。
これまで当たり前だと感じていた日々も、かけがえのない時間だと気づいたので、この感謝を忘れずにしていきたいと思います。
グリーフを乗り越えようとするのではなく、歳を重ねるごとに、様々な経験を重ねるごとに、自分自身の人生をより色濃く豊かにしていくことの出来るものなのだと、少し視点を変えて、日々感じる思いや気づきを大切にしたいと思います 。
(東京都 元原泉さん)
傷だらけ、しくじりだらけの人生もまた、私にしか語れないストーリーであり、どこかにそんな私の背景を必要としてくれる人がいるのかもしれないという光が見えました。(全文はクリックしてご覧ください)
(千葉県 番澤清美さん)
- どうしてグリーフケアスクール(専門士養成コース)に参加したいと思われましたか
- 直接的なきっかけは、溺愛していたペット、もとい、大切な家族であるハムスターのあくびちゃん(8代目)を2月上旬に亡くしたことでした。
これまでにもハムスターは飼ってきたので、ペットとのお別れは初めてではないのですが、これまでにない哀しみに襲われました。
ちょうど時を同じくして、ヒューマン・ギルドのゼミナールでたまたまトシさんが登壇される機会があり、そちらのアーカイブ視聴や岩井先生とのコラボのYouTubeの動画を拝見させていただき、ぜひトシさんからグリーフケアについて学ばせていただきたいと思い、一気にアドバンスまでセットで申し込みさせ
ていただきました。
決め手は、①トシさんから学べるということ、②直近、当事者としてグリーフケアを学ぶだけでなくゆくゆく支援者としての自分の適性を見極めたいと思ったこと、③数年来取り組んできた自己の統合(自己否定から自己受容へ、愛着の課題など)に向けて何かヒントが得られるのでは?と直感的に思ったこと、の3点でした。
- 参加してどのように感じましたか。心に残ったことを3つあげてください。
- ①自尊感情の二階建て構造:
薄々感づいてはいたのですが、やはり愛着(一階部分)が不安定であると、グリーフが長引くということ。
おそらく、グリーフに限らず、人がライフタスクと向き合うときに一番根底で影響するのは愛着なのではと思わされました。
生存するための安心安全を自分の中に持てないということの不安定さは、私も身をもって今も現在進行形で実感しています。
だからこそ、私と同じような不安定さで苦しむ人を少しでも減らしたい、という思いがより強くなりました。
②ルイーズ・ヘイのミラーワークと、トシさんのお言葉:
幼い時の傷ついた子どもの自分に言ってあげたい言葉を丁寧に探す原体験の旅に出ようと改めて思わされました。(これまでにも、相互コーチング、相互カウンセリングや心理セラピーで扱ってはきたのですが、特定できないことだらけ)
トシさんの、「こういう地道な努力をおろそかにせずに実践して習慣化している人は、少ない」という言葉も耳に焼き付いています。
さすが、ご自身自ら実践して変化し続けた人の言葉は説得力が違うと圧倒されました。
私もトシさんみたいに自らの姿で伝えられる人になりたいです。
③金継ぎと景色のお話:
自分の傷だらけ、しくじりだらけの人生もまた、私にしか語れないストーリーであり、どこかにそんな私の背景を必要としてくれる人がいるのかもしれないという光が見えました。
私は、私が主人公のミュージカルを、泣いたり笑ったり踊ったり立ち止まったりしながら、自分と誰かのために精一杯生きたいと思うのでした。
- 今回の学びをこれからどのように活かしたいですか。
- まだまだ、グリーフ専門士の入り口だと思っていますが、今のこの謙虚な気持ちをこの先ずっと忘れることなく、ベーシックで学ばせていただい基礎の基礎を大切に、この後のクラスでも学び続けていきたいです。
その先に、私の命の使う活動があるのかもしれないと、今は微かな可能性に喜びを感じています。
改めまして、本当に素晴らしい講座をありがとうございました 。
(千葉県 番澤清美さん)
今回の学びを、葬儀社で遺族のグリーフケアに重点を置いた癒しのサービスを提供するのに役立てたいです。(全文はクリックしてご覧ください)
(大阪府 岩田友紀さん)
- どうしてグリーフケアスクール(専門士養成コース)に参加したいと思われましたか。
- 私が従事している葬儀の現場において、今後はもっとグリーフケアの考え方が重要視されたサービスが行われるべきだと思います。
接客に活かしたり、新たなサービスを発案したりするために基本的、かつ体系的な知識を得たいと思いました。
また、私自身も、交通事故の加害者になり、アイデンティティの喪失と思われるグリーフに苦しみました。
今は随分と落ち着きましたが、当時はその苦しみや哀しみの正体がよくわからず、表出の仕方や対処の仕方がわからず、また相談できる機関もほとんどなく苦労しました。
グリーフケアの存在を知り、もしかしたら多くの加害者が経験する苦痛はグリーフの観点から捉える事ができるのではないか?と思い、更にグリーフケアについて学んでみたいと思いました。
- 参加してどのように感じましたか。心に残ったことを3つあげてください。
- 敬話敬聴のワークを実践して、話を聴くことの難しさを痛感しました。
自分が引っ張って行こうと気負うことなく、黙って相手が話してくれるのを待つのは、言うのは簡単ですが実践することが難しかったです。
ですが、ワークの中で、最後まで黙って聞いてもらえる経験をして、その大切さを実感したので、これからも会話の時には意識するようにしたいです。
今回の講座は少人数で安心して話せる環境でしたので、随分と皆さんの深い胸中を伺い知ることができました。
とても辛い思いをされた方の話を聞くと、自分のグリーフは蘂分ちっぽけに感じられ委縮してしまいましたが、講座の中で、「哀しみを人と比べてはならない」という「相互尊重」の考えに触れ、自分の哀しみも大切にしていいのだと思えるようになりました。
そして、自分の苦しい部分についても包み隠さずお話することができ、聞いてもらえるとスッキリしました。
他人の敬話敬聴をする上で、また、私自身これからもグリーフを抱えながら色々な人と接することになる上で、この相互尊重の考えはとても大切にしたいと思いました。
最後に、この講座を受講し、グリーフ(ケア)の奥深さを知ることができました。
グリーフは身近な人を亡くした時だけでなく、身体の一部や、目標、信仰する対象や物を失った時にも起こります。
グリーフはすべての人にとって身近な存在だけれども、人の数だけ異なる唯一無二の物であり、複雑な要因が絡み合ってできるものだと思いました。
だからこそ、もっと深く知りたいと思いましたし、また、座学で学ぶだけではなく、しっかりと相手と向き合って見えない部分まで観察する実践をして、グリーフについて知りたいと思いました。
- 今回の学びをこれからどのように活かしたいですか。
- 葬儀社で、遺族のグリーフケアに重点を置いた癒しのサービスを提供するのに役立てたいです。
また、交通事故加害者の当事者として、自身の悲嘆の癒しを行い、ゆくゆくは他の交通事故当事者(主に加害者)に向けた発信や、分かち合いの会などといった場で活かすことができたらいいなと思います。
加害者同士だけではなく、被害者の心情を推し量ることにも役立てたいと思います。
(大阪府 岩田友紀さん)
今回の学びは、ご自分の状態がグリーフであると気づかず苦しんでいる方に関わる時にも生かすことが出来ます。その方々が無理せずご自分の気持ちを大切にして下さるよう、おそばに寄り添いたいと思います。(全文はクリックしてご覧ください)
(神奈川県 牧野静子さん)
- どうしてグリーフケアスクール(専門士養成コース)に参加したいと思われましたか。
- 高校生の時に初恋の人を、保育士時代に担当していたお子さんを、ともに事故で失いました。
当時はまだ「グリーフ」という言葉も一般的ではない時代で、家族でも親族でもない私は、大きな哀しみを誰とも共有できず、心の奥に閉まって蓋をすることしか出来ませんでした。
最近になって、長年患っていた父親と、子どものように大切な愛兎を相次いで亡くしました。
とても大切な存在を亡くして、言葉には出来ない、心に大きな穴が開いたような哀しみ、喪失感を味わいました。
また、この喪失体験がきっかけになって、蓋をしていた過去の哀しみも蘇ってきました。
喪失体験を受け止めてこれから生きていくために、この言葉にならない気持ちにしっかり向き合おうと思いました。
グリーフとは何なのか、どのように心身をケアすればよいのか、一から学びたいと考えました。
更に、哀しみの中で孤独でいることは心身により大きな負担をかけることを体験し、周囲の人の支えがどれほど力になるのかも実感しました。
また悪意のない言葉でも時には心に大きな傷を残してしまうことも経験しました。
これらの体験から、適切で必要なグリーフケアをきちんと学び、喪失体験を抱えて深い哀しみの中で苦しんでいる方々のお気持ちに、寄り添えるようになりたいと強く考えるようになり、講座に参加させていただきました。
- 参加してどのように感じましたか。心に残ったことを3つあげてください。
- 1、敬話敬聴
講座の中で、何度も繰り返し教えていただきましたが、グリーフケアの根幹である「敬話敬聴」の姿勢で目の前にいらっしゃる方に向き合う、ということが一番心に残っています。
ゆっくり丁寧に話す、優しく穏やかに話す、沈黙を大切に聴く、特別な体験として聴く、相手の方をリスペクトし尊重することが何より大事であること。
想いにじっと耳を傾け、分かろうとする気持ちで受け止める。
基本ではありますが、それがグリーフケア支援者としての「軸」であり、常に自分の指針になることです。
また日々忙しく生活しているとつい忘れてしまいがちですが、家族・友人・同僚など誰か3と関わりながら生きている私たちにとって、一番大切なことでもあると思います。
私はそのように人と向き合っているのか、改めて自分の生きる姿勢も考えるきっかけになりました。
2、グリーフスパイラル実際に体験した悲嘆の症状を、喪失悲嘆の7つの局面グリーフスパイラルに当てはめると、とてもよく理解出来ました。
変わらない本質としての「哀しみ」が常にあり、現状は「混乱」「否認」「怒り」などにランダムに移り変わり、また戻ったりしながら、やがて「再生」していきます。
その過程は階段を一段ずつ昇っていくようなものではなく、スパイラル状に繰り返しながらであって、現れ方も人によって千差万別です。
現れている症状をグリーフスパイラルにあてはめると、この局面だからこういう状態であって、支援者としてどのようなことを心がけたらよいのか、と理解出来ました。
そして、グリーフは辛く苦しい体験ではあるけれど、哀しみだけをもたらすものではなく、やがて再生の時を迎えてその方の新しい出発にもなること、という講師の方のお言葉がとても印象に残りました。
自分自身の哀しみの先にも希望が見えましたし、グリーフを抱えた方がやがて新しい出発の時を迎えられるまで、一緒に伴走者として寄り添いたいと思いました。
3、グリーフの指標その方がグリーフの状態なのか、医療関係者につなげる必要があるのかを、見極める指標が印象深いです。
グリーフは病気ではありませんが、食欲が無くなる、眠れない、倦怠感など一見するとうつ病と同じような状態であるので、どちらなのかの見極めがとても難しいと思います。
今まで自分でDSM-5の表記を読んでも違いがよく分からずピンとこなかったのですが、今回のテキストに記載されている比較や、「グリーフは波を描く」という表現は分かりやすく、イメージ出来ました。
そして、適切な時にリファーをしその方を必要な支援で守ることが、支援者を守ることにもなるということが理解出来ました。
グリーフケアは、グリーフの状態にある方に本当に必要な支援をすることが一番大切なことです。
支援者として不適切な関わりにならないように慎重な見極めが必要ですから、今後より深い学びと経験が必要だと実感しました。
そして自己判断だけではなく、いざという時に相談できる人を作っておくことがとても大事だと思いました。
- 今回の学びをこれからどのように活かしたいですか。
- まず今回講座で学ばせていただいて、自分自身の心の奥にあるグリーフと向き合うことが出来ました。
はじめは少し怖い思いもありましたが、鏡のワークなどを通して蓋を閉じていた想いがモーニングの状態になりました。
安心できる場でお話をさせて頂き、一緒に学ぶ仲間の方々に共感して戴いたことも、とても大きな力になりました。
支援者として誰かの哀しみに寄り添うためには、自分自身の心が安定していることが必要です。
これからも感情が込み上げ辛くなった時には、バタフライハグをして心を落ち着かせながら、丁寧に自分の心と向き合う時間を作っていこうと思っています。
そして、グリーフの状態にある方々が安心してお話をして下さることを目指して、今後もグリーフの学びを進めていきたいと思っております。
講座で学ぶ前は、グリーフというのは「死別による哀しみ」というイメージを持っておりました。
しかし実際のグリーフは、離別、加齢によって今まで出来ていたことが出来なくなること、事故や病気での身体の欠損など、非常に多岐にわたるものと知りました。
つまりグリーフは、日常生活の中で誰にでも起こりうることであり、言い換えれば誰もが何かしらのグリーフを抱えながら生きている、という視点を持つことが出来ました。
今回学んだことは、普段の生活の中でご自分がグリーフの状態であると気づかずに苦しんでいる身近な方に関わる時にも、生かすことが出来ます。
その方々が無理せずご自分の気持ちを大切にして下さるように、そばに寄り添いたいと思っております 。
(神奈川県 牧野静子さん)